コーチに言われたとおりにやってるはずなのに打点が遅れてしまうの
テイクバックは肘から引くのが正解なの?
実はその原因、多くの人が「ラケットを引く=テイクバック」と思い込んでいることにあります。
正しくは、「引く」ではなく「自然になるもの」であり、コツはターンを入れること!
20年以上コーチをしている筆者が、テイクバックの基礎をわかりやすく解説し、テイクバックを早くする本当の方法をお伝えします。
加えて、現代テニスで多く見受ける「肘から引く」の真相についてもお話していきますね。

〇テニスコーチ歴20年以上
〇女子連B・C・Dを中心に指導
「基礎の先に個性が生まれる」を信条に、独自の指導法を配信
※この記事は右利きフォアハンドの場合で解説していきます。
テイクバックを早くするコツは“体のターン”にあり

テニスで準備を早くするには「上半身のターン→テイクバック」の順番が重要です。
- テイクバックのスタートは「体のターン」
- ターン後テイクバック
ターンからスタートすることで、腕を大きく動かさずにラケットが自然に後方へ運ばれます。
結果として、最小限の動きで余計な力みを生まずに準備ができます。
しかし、テイクバックというと、どうしても腕を引くイメージが先行しがちなのも事実です。
もし、テイクバック=腕を引くと思っていた方は、意識を根本から変える必要があります。

うまい人は必ず体のターンからスタートしてるよ!
ラケットを腕から引くと準備が遅れる理由
腕を引くことを先行してテイクバックをしてしまうと、動作が大きくなり準備が遅れます。
さらに、3つの大きな問題を引き起こします。
- グリップを握ってしまう
- ラケットが下がらずミスが増える
- サイドスピンの原因になる
ストロークは、スピンを効かせることで、コートに収めていきます。
しかし、腕で引くと、スピンの打ち方とは真逆の動きになりやすいのです。
準備が遅れるだけでなく、手打ちの原因をも引き起こします。
体全体でリラックスしたフォームで打つためにも、ターン→テイクバックを実践したいですね。
スピンのかけ方については以下の記事を参考にしてください。

腕から引くのはデメリットしかない。
気を付けよう!
ラケットを大きく回す意識は時代遅れ?
現代テニスでは、腕を円のように大きく回すようなテイクバックをする人は少なくなりました。
結論から言うと「理にはかなっているが時代遅れ感は否めない」です。
昔のテニスは、飛ばないラケットと薄い握り方の2つの環境だったのが、回すテイクバックの要因となっています。
- 飛ばないラケット
→重心移動でボールを飛ばすフォーム - 薄い握り方
→フラットが主流だったため打点が低くなる薄い握りが当時の主流
腕を回すテイクバックは、上記にマッチしていたこともあり、問題ありませんでした。
しかし、現代ではスピンが主流。
バウンドが高く弾むため、低い打点に適した腕を回すようなテイクバックでは、対応がむずかしいんですよね。
よって、現代テニスにマッチしたテイクバックを身につける必要があるのです。
テイクバックを早くする方法を3つの手順で解説

準備が遅れずにテイクバックを早くする方法は、3つの手順でできます。
- レディ時にラケットを立てる
- 左肩からターンをする
- ターン後は腕を開く意識でテイクバック
テイクバックの基礎ともいえる動き方です。
一度習得してしまえば、打点遅れの心配をせずに、思い切り打球できますよ。
ぜひ、ラケットを片手に実践してみてください。
①レディの形:ラケットを立てる度合い

テイクバックをする上で意外と大切なのが、レディ(構え)のラケットの位置です。
チェックポイントは3つあります。
- グリップがおへその位置
- 肘にたわみをつける
(体からこぶし一個分のゆとりを) - ラケットの先端を目線の高さにセット
レディ時は、ターンがしやすいようにリラックスした状態がベストです。
グリップの先端が地面に向いたり、グリップを強く握ってラケットを立てすぎるのはNG。
このレディの基礎を身につけることで、スムーズにターンへ移行できます。

プロはいろいろな構えをしているけど、
上記の基礎は必ず実践してるよ
②ターン:左肩から体を回す

テイクバックの前にターンを入れることで、無駄な動きを減らして最短でテイクバックに移れます。
ターンで意識することは3つです。
- 左肩を右方向に回す
- 右足に重心を預ける
- ラケットの面が顔の高さを通過する
ターンの段階では、後ろではなく右方向に重心を預けることが、最短でテイクバックするための秘訣。
「右肩を引く」でもターンはできますが、後ろ重心になり、テイクバックが大きくなる事例が多発しています。
また、ラケット面が顔の高さを通過しない場合も、動作が大きくなって遅れる原因になります。
テイクバックへ向けた準備段階がターンです。
ターンとテイクバックを同時に行わずに、分けた動作としてとらえるとうまくいきますよ。

レディ時にラケット面を相手に向けてターンすると、
自然に顔の高さを通過してスムーズにテイクバックできるよ!
③テイクバック:ターン後は腕を開く意識でOK

ターン後は、腕を等間隔で軽く開けばテイクバック完成です。
チェックポイントを確認していきましょう。
- 肘と体にボール一個分のたわみがある
- ラケット面が顔の高さにある
- ラケット面が右側に向いている
- 踏み込み足のセット後に腕を開く
上記の手順であればグリップの握りすぎを抑えられ、自然な形でラケットダウンへと移れます。
結果、大振りにならずに、最短かつ安定したボールが打てる動作となるのです。
逆に、「ラケットの先端が後方に向いている」「脇が空きすぎている」状態は、テイクバックが大きくなっている合図。
身体の右側で完結できるラケットワークが、遅れないテイクバックを作れるのです。

テイクバックは大窓を雑巾で弧を描くように
拭くイメージに近いよ!
テイクバックのタイミングを合わせる秘訣

ターンのタイミングさえつかめれば、テイクバックが遅れにくくなります。
「レディ→観察→左右の判断→ターン→移動→止まる→テイクバック」この順番を、実際のボールに合わせることが大切です。
キーとなる3つのタイミングを紹介しますね。
- ターン
→相手のインパクト後 - 止まる
→相手のボールのバウンド時 - テイクバック
→止まった後すぐに
相手のボールを目で追いすぎると、受け身の状態になりテイクバックが遅れる原因になります。
また、テイクバックが遅いと思いすぎて早くとりすぎても、タイミングが合わずにうまくいきません。
相手のボールのスピードに合わせて、適切なタイミングでテイクバックを取ることが大切なのです。
「インパクト時」「相手の打球の頂点」「バウンド」の3つを意識して、タイミングを計る練習をしていきましょう。

ターンは“速さ”より“リズム”!
焦らず、適切な箇所でタイミングを取ろう
テイクバックを肘から引くのはアリ?ナシ?
現代のプロ選手の中にも、肘を引いてテイクバックを引く光景を多く見ます。
結論から言うと、テイクバックの基礎を理解していればOK!です。
- 肘から引くのは応用編
- 基礎の動きは盛り込まれている
肘から引くのは、体のひねりを利用して、より大きなエネルギーを生み出せる、いわばチート技。
この記事でお伝えしたテイクバックの発展形なので、まずは基礎を習得することが重要です。
テイクバックの基礎を習得したという前提で、注意点をお伝えしますね。
この2つを行うと、かなりの確率で打点遅れが発生するだけでなく、手首を痛める原因にもなります。
肘から引くテイクバックは、爆発的なエネルギーを生む一方で、タイミングを取るのが難しいことを念頭に置いておくとよいでしょう。
最短で準備できるテイクバックで打点の遅れとおさらば!
テイクバックを早くする鍵は、腕ではなく「体のターン」にあります。
- レディ
→ラケットは目の高さ・相手を観察 - ターン
→左肩始動・インパクト後すぐに判断 - テイクバック
→腕を均等に開く・バウンド時には完成
これで、無駄な力みなく最短で準備ができ、現代テニスの中でも、打点遅れや手打ちを防げます。
応用編の「肘から引く」にもつながりますので、まずは、テイクバックの基礎習得を目指してください。
速い準備は、怖さがなくなり、自信をもってストロークに打てるようになります。


