球出しでは打てるのに、ラリーになると途端に打てなくなる…
試合になると3球続かないんだよね…
ラリーが続かないと思っちゃうと、「またミスしたらどうしよう」と力が入ったり、弱気になったりして、余計に続かなくなりますよね。
まずは「原因」を知り、「原因に合った解決法」で練習することが大切。
難しい技術よりも、“ちょっとした意識の違い”でラリーは驚くほど安定しますよ。
20年以上コーチとして多くの方を指導してきた経験から、続かない原因と解決のコツをお伝えします。
翌日からすぐに実践できる内容になっていますので、ぜひ、コートで試してみてください!

〇テニスコーチ歴20年以上
〇女子連B・C・Dを中心に指導
「基礎の先に個性が生まれる」を信条に、独自の指導法を配信
なぜテニスでラリーが続かない・打てないのか

ラリーが続かない・打てない理由を、予測力・考え方に焦点を絞って説明していきます。
特に多い悩みは、4つです。
- 打点が近い・合わない(予測力)
- スピード調整ができない(考え方)
- 予測ができない(予測力)
- リズムが取れない(考え方)
打ち方は、練習の積み重ねが必要ですが、上記であげた4つはすぐに解決できる原因です。
自分がどの原因に近いのかを確かめていきましょう。
打点が近い・合わない
打点が正確でないと、ボールをコントロールするのが難しくなります。
慌ててボールに近づいてしまうのが要因の一つです。
ボールは勝手に自分のところに飛んできてくれます。
いったんボールから離れたり、バウンドを探す癖を作ることで、打点に関する問題は改善されますよ。

離れることで、ボールの見え方がガラッと変わるよ!
強さやスピードの調整ができない
ボールのスピードや強さを調整できないと、アウトが多くなります。
アウトが多くなると、アウトを恐れてスイングが小さくなり、余計に調整が難しいですね。
原因は、力の入れすぎです。
- 相手よりも良いボールを打ちたい
- 相手のボールに負けないようにしなきゃ
このような考え方は、手打ちの原因を招き、調節ができないのです。
本来、ボールのスピード調整は、手でするものではなく体の回転速度や回転量の調節で行います。
脱力した状態がボールの安定に必要になるわけです。

テニスのミスの原因は、大体脱力で解決できるよ。
予測ができない
ボールの予測ができないと、打点や前後の距離感が合わなくてミスにつながります。
原因は相手を観察していないことです。
相手の動作があってボールが飛んできます。つまり、見るべきは「ボール」ではなく「相手」。
予測力=観察力なのです。
相手の重心やスイング軌道を観察すれば、浅いボールやスピン系の球も事前に判断できます。
観察→予測→判断→実行のサイクルの習慣化を目指しましょう。
はじめは慣れないため難しいかもしれません。
しかし、予測する癖が身に付けば、今悩んでいる様々な問題を解決してくれますよ。
- 知識…球種や回転でどのように弾むのか理解
- 経験…様々なボールを受けた実際の体験
- 判断…知識と経験からどんなボールかの判断
準備が遅れる・リズムがつかめない
ラリーのリズムが合わないと、タイミングが合わかったりうまく体を使えなくなり、ラリーが難しくなります。
なんかいつも詰まってしまう、思ったよりもボールが早く来るという経験はありませんか?
原因は、ボールばかりを見てしまい、リズムをとれていないことです。
テニスでは、自分の動作をラリーに合わせることが大切なのです。
ボールの軌道だけを追うのではなく、ポイントになるタイミングに合わせて体の動きやフォームを調整していきましょう。
- 相手が打球した瞬間にターンをする
- 相手ボールのバウンドに合わせて止まる
「動きの基準」を決めておくことで、毎回のリズムが取りやすくなります。

1球ごとに状況が変わるテニスでは、リズムはすごく大切なんだ
テニスのラリーを「安定して続ける」コツ

テニスのラリーを安定して続けるには、原因にあった解決法を実践することが大切です。
続かない理由として多い悩みに対して、改善のコツを4つ紹介していきますね。
- ボールとの距離の作り方
- ボールスピードの調整にやり方
- 打点が遅れないやり方
- タイミングを合わせるやり方
実践ですぐに試せるコツになってますので、ぜひ、コート上で試してみてください。
ボールから離れて距離感を作る

悩み:ラリー中に打点が近い・合わない
解決:横からボールを見て距離をつくる
ボールとの距離が近くてラリーが続かなければ、ターンのタイミングでボールから離れてみましょう。
- 相手がインパクトの瞬間にターンをする
- ボールの側面が見える位置まで半歩ほど移動する
- バウンド時自分側のボールの側面を見る
ボールを真正面から見てしまうと遠近感がつかみにくく、気づけば打点が近くなり、スイングが窮屈に……。
一方で、横からボールを見ることで距離感がつかみやすくなり、自然と打点の位置も安定してきますよ。
ラリーが続かない人ほど、「ボールから少し離れる」「横から見る」ことを意識してみてください。
一度試すだけで、距離感のズレが驚くほど改善されますよ。
相手と同じスピードのボールで返球
悩み:ボールがアウトしてしまう
解決:相手の真似をしよう
アウトが多い方は、相手の真似するだけで余計な力みが消え、ラリーに安定感が生まれます。
- 相手のボールのスピードを観察する
- 相手と同じボールの弾道を頭にイメージする
- 思い描いたイメージを目指して打球する
「いいボールを打たなきゃ」と考えると、スイングが硬くなりアウトしやすくなります。
一方で、「相手と同じ高さ・勢い・スピード・回転量」を真似しようとするだけで、目標が明確になり余計な力みも消えます。
テニスは、バッティングセンターのように打ったらおしまい、というわけにはいきません。相手がいる限り、ボールが返ってくるスポーツです。
だからこそ、「一球入魂」ではなく、6割の力で長くつなぐ意識を持ってみてください。
余裕を持つだけで、驚くほどラリーが安定していきますよ。
相手のボールの頂点を見つける

悩み:予測ができなくてうまくボールに入れない
解決:相手ボールの頂点の下側を見る
予測がうまくできない方は、まず相手のボールの頂点を見つける意識を持ちましょう。
ボールの軌道の中で「一番高くなる点=頂点」を探すことが、ラリー安定の第一歩です。
- 観察ができる
→頂点を探すために意識的に相手みれる - 早い判断ができる
頂点時のボールの下を見るには早い段階で見る必要がある - バウンドの予測がしやすい
→頂点という「明確な指標」があることで、ボールの落下点を予測しやすくなる
頂点を見つけることで、打点のズレが減り、リズムが合いやすくなります。
結果として、無理に予測しようとしなくても、自然と“打つタイミング”が整ってきますよ。
「1・2・3・4・ステップ」のリズムを身につける

悩み:タイミングがうまく合わない
解決:ラリーに合わせて一定のリズムを作る
テニスのラリーでタイミングが取りづらい場合は、動作とラリーのリズムをリンクさせると改善されます。
「ターン→止まる→スイング→構え→スプリットステップ」のスイング動作をラリーに合わせていきましょう。
- ターン
→相手のインパクト後にセットする - 止まる
→バウンドに合わせる - スイング
→バウンド後にボールに合わせる - 構え
→相手にボールが届く前に完了する - スプリットステップ
→相手のインパクトに合わせる
「なんとなく合わせる」が習慣化すると、リズムは取りにくくなり、ミスにつながります。
リズムの指標を作れば、やるべきことが明確になり、タイミングもとりやすくなりますよ。
また、タイミングがずれる原因も追究しやすいですので、ぜひ、リズムを取り入れてみてください。
ラリーの練習メニュー:初心者~中級者まで段階的に

テニスのラリーがつながらないと悩んでいる方に向けた練習方法を、3ステップに分けて紹介します。
- ラリーの距離を徐々に伸ばす(初心者向け)
- 6割の力でラリーする(中級者向け)
- 互いに球種を変えてラリーする(ゲーム向け)
ラリーは、どうしても「気持ちよく打ちたい」など、目的が散漫になりやすい練習です。
だからこそ、目的を持たせてやることが明確にするだけで、レベルアップを体感しやすくなります。
すぐにでも実践できるラリーメニューを紹介していますので、ぜひ、普段の練習に取り入れてみてください。
STEP①:ショートラリーから徐々にロングラリー

おすすめレベル:初級~
悩み解決:力の調節・打点の調節
初心者の方におすすめなのが、ショートラリーから徐々に距離を伸ばしていく練習方法です。
いきなりロングラリーからやると力みやすいですよね。
距離を段階的に伸ばしていくことで、力まないでもボールを飛ばせることを体感でき、安定感も増します。
- ショートラリー
- 中間距離でラリー
- ベースラインでラリー
※図を参照
ある程度ラリーが続くようになったら、互いに一歩ずつ下がりながら距離を広げていきましょう。
距離を伸ばしても自然に力みもなくなります。
もし、ミスが出たら、それは力みが入ったサイン。
一歩前に戻って、打球の感覚をキープしたまま再チャレンジしてみてください。
STEP②:6割の力でラリー
おすすめレベル:中級~
悩み解決:力とスピードの調節・ラリーリズム・つなげる考え方
実践でも使える6割の力でのラリーは、常に取り入れたい練習方法です。
「3球つながらない」「相手に迷惑をかけてしまう」という方は、すぐにでも実践してみましょう。
- 目標のイメージを6割にする
- 相手のボールよりも遅く返球する
- 失敗しても「まーいっか」と考える
ラリーは、球出しのように常に打ちやすいボールが来るわけではありません。
ボールに合わせて柔軟に対応することが大切なのです。
6割思考にすることで、余計な力みが消えて、脱力したスイングがしやすくなります。
「ミスしてはいけない」「コートに入れなきゃ」とこわばるのではなく、「あのへんでいいか」と成功の基準を下げてみてください。
気持ちも楽になり、頭の中もすっきりして、集中力を保ったままラリーに臨めますよ。
STEP③:互いに球種を変えてラリー

おすすめレベル:中級者・試合に出る人
悩み解決:予測力・判断力・観察力
ゲームで自分の間合いでラリーを進めたい方は、球種によっての対応力を身につけましょう。
- フラットVSスピン
- フラットVSスライス
- スピンVSスライス
目的は、相手の打ち方をみる観察力や球種による弾み方や対応の仕方を身につけることです。
「STEP①徐々に距離を広げながらラリー」と組み合わせると効果的です。
練習前のウォーミングアップ(ショートラリー)で取り入れてもよいですね。
さまざまな球種を経験を積むことで、実戦でも自然と予測できるようになります。
まとめ
ラリーを安定させるには、難しい技術よりも“考え方と準備”を変えることが一番の近道です。
打点や予測、リズムなど、どれも一気に完璧にしようとする必要はありません。
まずは自分の中で「どの原因が多いかな?」と気づくだけでOKです。
- 打点が近い → 少し離れて横から見る
- アウトが多い → 相手と同じスピードを意識
- 予測できない → ボールの頂点を探す
- タイミングが合わない → リズムを口に出して取る
どれも、“すぐに試せて、効果を体感できる” コツばかりです。
次の練習から、まずは1つだけでも意識してみましょう。
たった1つ変えるだけで、
「ミスを恐れない」「自然にラリーが続く」感覚が少しずつ身についていきます。
焦らず、力まず、6割の力で。
その積み重ねが、安定したラリーと“試合での自信”につながりますよ。

