一生懸命振ってるんだけどサイドスピンになっちゃうの
厚いグリップじゃないからスピンをかけられない…
ご安心ください。腕力がなくても、薄いグリップでも、スピンはかけられます。
コツは、正しいスピンの原理を理解し、手順に沿った打ち方と練習法を身につけることです。
この記事では、現役コーチが実際に成果のあった、スピンのかけ方・打ち方・練習方法を図解付きで解説します。
スピンを習得して、試合で安定したストロークと自信を手に入れましょう。

〇テニスコーチ歴20年以上
〇女子連B・C・Dを中心に指導
「基礎の先に個性が生まれる」を信条に、独自の指導法を配信
【図解】テニスでのスピンのかけ方

スピンのかけ方は、3つの要素から成り立ちます。
- スイング軌道⋯インパクトまでのスイング角度
- 回転⋯地面と垂直になる面の向き
- 回転量UP⋯スイングスピード
トップスピンをかけるには、ボールに当たる前の動きが重要です。
ラケット面がボールに接触し離れるまではわずか0.003秒。人間の反応速度でどうこうなる次元を超えています。
インパクト後に一生懸命振り上げても、すでにラケットからボールは離れているため、思ったほどの回転はかからないということですね。
逆に、3つの要素を網羅できれば、誰でもスピンはかけられます。
厚い握りでなくてもスピンはかけられる!
薄い握りだからかからないというのは誤解です。
正しくは、「厚いグリップに比べれば回転量は少ないが、薄いグリップなりのスピンはかけられる」です。
ただし、スピンのかけ方に沿ってスイングをしないとサイドスピンになる可能性があるのが、薄いグリップの特徴。
次で詳しく説明しますね。
サイドスピンがかかってしまう理由

サイドスピンは、以下の3つからおこります。
- 準備が遅い→外から内のスイングになる
- 打点が安定しない→ラケット面が上を向く
- ひじや手首で振り上げる→ボールの下をえぐる
スピンをかけようとするあまり、力が入りすぎることが、原因の一つです。
特に薄い握りの方は、サイドスピンの可能性が高まるので注意が必要。
打ち方については、のちほど詳しく解説します。
まずは、それぞれ深堀していきますので、自分のスイングと照らし合わせてみてください。
準備が遅くラケットダウンの時間がない
準備が遅れると、下から上のスイングができず、サイドスピンがかかるきっかけに。
原因は、テイクバックの仕方と準備のタイミングにあります。
- 手でテイクバックしてしまう
- 相手のボールのバウンド時に打つ準備ができていない
「振らなきゃ」と思うほど、「力が入る→手でラケットを引く→テイクバックが大きくなる」となり、平行スイングの原因に。
加えて、相手のボールのバウンド後に足が動いてしまうことで、ラケットを下げる時間が無くなります。
力が入り、準備が遅れると手で打点に合わせる手打ちとなり、スピンがかからなくなるのです。
打点が近すぎる・前すぎると面が上向きになる
薄い握りの場合、体に近いほど、また、打点が前すぎるほど、面が上向きになります。
身体の構造上、面が上を向くのが自然な動きになるからです。
原因は手打ち。スピンをかけるためには、体の回転→スイングの連動が必須。
しかし、グリップを握りすぎると「下半身が使えない→手打ちになる→打点が近くなったり前すぎる」といった現象が起こります。
肘や手首で振り上げようとする
肘や手首で振り上げようとすると、ラケットがボールの下をえぐる形になり、サイドスピンになります。
原因は、グリップを持ち上げるようにして振り上げるからです。
振り上げ時のセルフチェック
〇…肘が鼻の高さ
✕…肘が胸の高さ
本来は、肩を支点に振り上げるため、肘は鼻の高さまで上がるのが理想。
しかし、小手先で振り上げようとすると、振り上げが小さくなります。
振り終わり時に肘の位置が鼻の高さまでいない場合は、小手先で振り上げている可能性がたかいです。
【図解】女性でもできるトップスピンの打ち方3ステップ

トップスピンを女性でも簡単にかけるための手順を紹介します。
- 上半身の動き:面の向きと腕の使い方
- 下半身の動き:ターンと重心移動
- ミックスの動き:身体の回転とインサイドアウト
いきなりスピンをかけようとするのではなく、上半身・下半身と分解することで、理解力が深まり習得への早道となります。
それぞれ、詳しく打ち方について解説していきますね。
①面の向きと腕の使い方

【結論】
面の向き→地面と垂直
腕の使い方→肩を支点に振り上げ
まずはスピンに必要なボールの触り方を習得しましょう。
基本の動作をマスターして、習慣づけることが大切です。
以下の手順にそって、上半身の使い方と回転をかける感覚を身につけましょう。
- 正面向きに用意
- 地面と垂直になるようにインパクトの形を作る
- 肩を支点に手首をキープしたままラケットダウン
- 肩を支点に肘が鼻の高さなるまで振り上げる
ボールをラケット面で転がすように振り上げるのがコツです。
ボールに回転がかかり、転がるようにボールが飛んでいればOK!
ボールが上方向に飛びすぎてる場合は面が上を向いている可能性が高いので、ご注意ください。
②ターンと重心移動

【結論】
ターン→肩をくるっと回す
重心移動→腰をぶつける
次に、身体全体の動作を加えていきます。
身体全体を使ってスイングすることで、ボールに威力を加えた状態で回転がかけられるからです。
手順は以下の通り。
- 正面向きで構える
- 左肩をくるっとまわしてターン
- 打球方向へ左足を踏み出す
- ゆとりを持たせたまま腕を開く
- 後ろの腰を前の腰にぶつけるように重心移動
※上図を参照
最終的に、右肩がさがり、ラケットが腰の高さより少し下に下がっていればOKです。
コツは、グリップを握りすぎないこと。
1割程度の握り具合で、上記の手順に沿って動作をしましょう。
手で操作をすると手打ちになるのでご注意ください。
③身体の回転とインサイドアウト

【結論】
身体の回転→後ろ足を蹴り返す
インサイドアウト→終始脱力
前述した①上半身の動きと②身体の動きを融合します。
手順は以下の通り。
- 正面向きで構える
- ターンと重心移動
- 後ろ足を蹴り返し身体を回転
- 打球方向にへそを向けて回転を止める
- 遠心力に身を任せスイング
- 肘が鼻の前に行くまで下から上にスイング
- そのままの勢いで振り切る
※上図を参照
身体の回転→スイングの順番に動作することがコツです。
また、身体の回転を止めることで遠心力が働き、インサイドアウト(グリップの位置が身体に近い→遠い、の動き)とスイングスピードUPの両方を可能にしてくれます。
スイングスピードUPは、回転量に直結します。
身体は回しっぱなしではなく、打球方向でしっかり止めることを意識しましょう。
トップスピンの量を増やす裏ワザ

【結論】
ラケットダウン時にラケット面を地面に向ける
トップスピンをかけるには、インパクト時にラケット面が垂直または若干下向きになる必要があります。
しかし、薄い握りの人は、どうしてもインパクト時に上向きになりやすいのです。
ラケットダウン時に面を下に向けることで解決されるので、やり方を紹介しますね。
- ターンを終えた状態でスタンバイ
- 地面に垂直になるようにインパクトの形をつくる
- ラケット面が下を向くように、ラケットダウンをする
- そのまま身体を回転させて、スイングをする
※上図を参照
インパクトの位置からラケットを移動させるのがポイントです。
意識的にラケットダウン時に面を下に向けようとすると、身体に大きな負担がかかり、けがの原因になります。
しかし、上記のやり方なら、手首や肘に負担をかけずに、面が下に向けた形のラケットダウンが可能です。
薄い握りの方で、回転がかからないというかたは、ぜひお試しください。
スピン習得のための簡単練習
スピンを体に覚えさせるには、「素振り → フィード練習 → 打ち込み」の順が効果的です。
- 素振り:打ち方の項目を確認(ラケットダウン→スイング)
- 感覚:ボール出しでラケット面や実際の弾道の感覚をつかむ
- ラリー:ショートラリー→ロングラリーで実践
※上図を参照
普段なんとなく行っている球出しやショートラリーに上記のことを意識するだけで、十分スピン習得の練習になります。
H2:スピン習得で女性でもテニスの試合で力強いボールを打とう!
スピンをかけるには、腕力ではなく 正しい動作の順番 が大切です。
ポイントは以下の3つでしたね。
- 面の向きは「地面と垂直」をキープ
- 肩を支点に、下から上へスイング
- 体の回転と重心移動で自然な遠心力を生み出す
これらを「力まず・焦らず・丁寧に」練習すれば、スピンは必ず身につきます。
最初は回転が弱くても大丈夫。正しい形を体に覚えさせることが最優先です。
トップスピンを習得すれば、
・ネットミスが減る
・深く安定したボールが打てる
・相手を後ろに下げて試合を有利に進められる
という3拍子そろったストロークが手に入ります。
焦らず一歩ずつ、今回紹介したステップを練習に取り入れてみてください。
スピンを自在に操る日も、そう遠くありません。


